国立大学法人鹿児島大学

鹿児島環境学プロジェクト

鹿児島環境学は、現場から発想し、
環境問題への新たな提案を目指しています。


【お問合せ先】
国立大学法人鹿児島大学研究推進部 研究協力課 研究協力係
鹿児島環境学担当
E-mail:kenkyo☆kuas.kagoshima-u.ac.jp (☆を@にかえる)
所在地:〒890-0065 鹿児島市郡元1-21-24
FAX:099-285-7037

トピックス

第4回環境文化シンポジウム

「島と東京を結び〈これからの奄美の環境文化〉を語り合う~奄美の自然と深く付き合い、奄美の暮らしを持続させるために~」開催報告

鹿児島環境学研究会では、平成29年度「秋名・幾里の環境文化を知る・見つけるシンポジウム」、平成30年度「シンポジウム シマの暮らし(環境文化)を考える」令和元年度「名瀬のむかし、奄美大島のこれから」と、3回の環境文化シンポジウム等の活動を通して、奄美大島の環境文化をテーマに取り組んできました。
第4回環境文化シンポジウムでは、高齢者と若者世代を結び、そして、奄美大島と東京をオンラインで結んで、これからの奄美の環境文化、子どもの頃の遊びやシマ(集落)の行事を中心にディスカッションを重ね、「奄美の大切に想う気持ち」は世代や距離を超え、脈々つながっていること、そして、それぞれの世代が奄美のこれからのために考えていることを会場にて対面参加の方々の意見も交えながら確認しました。本シンポジウムの詳細な記録集については、3月下旬に更新する予定です。

開催日時:2021年2月21日(日)13:30~17:00(開場13:00~)
開催場所:奄美会場(奄美観光ホテル)、東京サテライト会場(東京大学)
参加者数:約90名(オンライン参加を含む)
(プログラム内容)
 開会・主催者、共催者挨拶(13:30~13:40)
 主催者:鹿児島大学学長
 共催者:環境省沖縄奄美自然環境事務所、鹿児島県

シンポジウム趣旨説明
『奄美大島の100人 100の環境文化』インタビューから見えてきたこと
小栗有子 鹿児島大学鹿児島環境学研究会

第1部 奄美の環境文化を考える視点
パネリスト 奥光太郎さん(奄美リゾートばしゃ山村取締役)、静島良樹さん(嘉鉄青壮年団長)、中村由美さん(住用町市婦人会部長)、濱田美和さん(奄美市社交飲食業組合理事)

第2部 島内の世代間をつなぐ
コメンテーター(若者):保岡海輝さん(県立大島高校生徒会長)、要田ののかさん(県立大島高校)、(年配者):西田テル子さん(写真家)、浜手栄男さん((有)浜久代表取締役)
第1部パネリスト

第3部 島と東京をつなぐ
パネリスト 原田尚樹さん(東京奄美会青年部)、井藤守仁さん(一般社団法人結いの島理事長)、第1部パネリスト、第2部コメンテーター

コーディネーター(鹿児島大学鹿児島環境学研究会)
奄美会場:小栗有子(鹿児島大学法文学部准教授)
東京サテライト会場:星野一昭(元鹿児島大学産学・地域共創センター特任教授)、西村明(東京大学人文社会系研究科准教授)

司会(鹿児島大学鹿児島環境学研究会)
奥山正樹(鹿児島大学産学・地域共創センター特任教授)

オンライン配信技術協力
奄美会場 あまみエフエム・ディ!ウエイブ
東京サテライト会場 西村和海氏

2019年度:産学・地域共創センターと大島郡龍郷町との共同研究

「環境文化型集落集会施設計画に向けた基礎的研究」を実施しました。 


産学・地域共創センターと龍郷町との共同研究「環境文化型集落集会施設計画に向けた基礎的研究」(2019年度)を大学院理工学研究科(工学系・建築学プログラム)と共に実施しました。

(共同研究にいたるまでの背景)
2017年3月7日に誕生した奄美群島国立公園には二つの特徴があります。ひとつは、景観が重視されたこれまでの国立公園と違い、景観だけでなく、自然とそこにすむ生き物をあわせた生態系を守る「生態系管理型」であること。もうひとつは、人と自然とのつながりがわかる文化や集落の景観を守る「環境文化型」であることです。

今回、共同研究の舞台となった龍郷町秋名・幾里集落は、自然環境と調和した文化景観(古道、サンゴ石垣、稲作にまつわる風習等)が評価され、集落の一部が国立公園に組み込まれています。しかし、国の重要無形文化財であるアラセツ行事に地域ぐるみで取り組み、伝統行事や集落独自の文化が残る一方で、少子高齢化等の影響でこうした集落の営みをこのまま将来につなぐことが難しくなっています。

鹿児島環境学研究会では以前から秋名・幾里集落で、環境文化に関する共同調査や学習会を集落の方々と進めながら、土地に根ざした文化の価値を見直す活動を行ってきました。
そして、老朽化した秋名集会施設の建て替えにあたり、集会施設を「環境文化の学び舎」と「自然と調和した持続可能な集会場」にしたいという要望が集落の方々から立ち上がり、今回の共同研究に結びつきました。

(共同研究実施の様子)
2019年度は、秋名・幾里集落の環境文化をソフトとハードの両面から継承・発信する「環境文化型」の集会施設の基本構想づくりに取り組みました。
大学側の参加者は、建築分野(ハード)を担当する大学院理工学研究科(工学系)建築学専攻の柴田晃宏准教授と鷹野敦准教授、そして、環境分野(ソフト)を担当する産学・地域共創センター(鹿児島環境学担当)の星野一昭特任教授と法文学部法経社会学科の小栗有子准教授です。また、この共同研究を、建築分野では、同大学院建築学専攻の修士課程の教育課程の一貫として、環境分野では、小栗ゼミの教育活動の一貫として、それぞれの学生の皆さんが参加しました。

建築分野と環境分野の共同で実施した3回にわたる基本構想づくりワークショップでは、秋名・幾里集落の方々から集落の自然環境、歴史、文化などの話を聞き取り、集会所への想いや願いを引き出すことを中心にしました。
集落の小学生から高齢者の方まで多様な世代、多様な立場の方々が参加し、小グループに分かれて、それぞれの想いを語り合いました。学生の皆さんは、話し合いを促すファシリテータ役や記録係として参加し、集落の方々から多くのことを学び取ることができました。

この3回のワークショップを通して、学生の皆さんは集落が育んできた生活の知恵を学び、目に見えない集落の方々の想い受け取ることができました。そして、建築学専攻の学生を中心に、専門的知見を地域に還元することができました。
また、これからの基本設計に向けて、既存の集落施設との連携や、伝統行事や伝統料理、川遊びなど次世代に継承したい環境文化の内容とその方法など、新しい集会施設の姿について、集落全体で一体感をもって取り組んでいく必要性があることを集落の方々と確認しました。

※詳しくは、鹿児島大学環境報告書 第2章 環境報告(11~12ページ)をご覧ください。
鹿児島大学 環境報告書2020pdfファイル (29.3MB)
https://www.kagoshima-u.ac.jp/about/2020kankyouhoukokusyo.pdf

2019年度:第3回環境文化シンポジウム 

「名瀬のむかし、奄美大島のこれから 」
-名瀬から発信する奄美の環境文化を考える- を開催しました。



 2019年9月23日(月・祝)に「第3回環境文化シンポジウム 名瀬のむかし、奄美大島のこれから -名瀬から発信する奄美の環境文化を考える」を奄美市AiAiひろばにて開催し、約100名の方に参加していただきました。

鹿児島環境学研究会の岩田治郎氏の司会の開会宣言のあと、鹿児島大学の馬場国際・研究担当理事による主催者挨拶、共催者である環境省那覇自然環境事務所東岡所長(環境省奄美自然保護官事務所千葉上席自然保護官による代読)、鹿児島県環境林務部自然保護課羽井佐課長による共催者挨拶がありました。

第1部「シマのくらしと名瀬の街」では、小栗有子准教授(法文学部)がコーディネーターとなり、小栗有子准教授から、環境文化について、これまでの鹿児島環境学研究会の取組を含め解説があった後、 当日の午前中に開催された関連プログラム『名瀬の街散策 ニシ・ヒガシ』について、案内人の奄美市立奄美博物館館長 高梨修さん(ニシ担当)、奄美郷土研究会副会長 岩多雅朗さん・丸田泰史さん(ヒガシ担当)から報告していただきました。歴史とともに、名瀬の街の海岸線の形や河川の流れを大きく変わってきたこと、寄留商人のあとを引き継いだシマの人々が街を発展させていったこと、蘭館(らんかん)橋に秘められた悲恋物語など、話の尽きない第1部となりました。

第2部「名瀬のむかしと今を振り返り、名瀬とシマのこれからを考える」では、星野一昭特任教授をコーディネーターに、第1部から引き続いて、案内人の奄美市立奄美博物館館長 高梨修さん、奄美郷土研究会副会長 岩多雅朗さん、名瀬八月踊り保存会事務局長 當光二さん、宇検村出身のサーモンアンドガーリックの新元一文さん、市街地で25年間ダグウッドサンドを営むオーナーの南和仁さんにご登壇いただきました。當光二さんからは、シマ口の唄とシマそれぞれの踊りを伝承していく難しさとその工夫について述べられ、南和仁さんは、スマートフォンやSNSの発達で若者世代の購買行動が大きく変わったこと、新元一文さんからは、宇検村郷友会を例に、壮年・若者世代に継承していくような、多様な「縦」のつながりをつくっていく難しさが語られました。

名瀬の都市部と農村部のつながりについては、会場から、奄美市住用町市地区区長の山下茂一さんより、都市部とのアクセスが向上したことで、医療面等で便利になった反面、人口流出を招いたことが述べられ、奄美市教育委員会の方からは、奄美大島島内の山村留学制度について里親確保の難しさや、子どもの意識の変化により、送迎での留学が好まれている現状について話がありました。最後、星野一昭特任教授が「世界自然遺産登録されるということは、人類の宝として守るべき、遺すべき自然があることを世界に認められ、注目されるということ。世界自然遺産登録を機会に、奄美大島の皆さんがこれからどういうシマにしていきたいかを語っていけるようにしてほしい」と述べられました。

シンポジウムの最後は、小栗有子准教授が、「奄美をはじめ、日本全国が人口減少で岐路に立っている。昔は海も山も人も、今より近かったのだろう。人と自然の関係が切れることで、人との関わりも希薄になっているのではないか」「踊りや行事の伝承を形ではなく、伝承していく意味を考え、伝承する楽しみへと工夫してほしい」という言葉があり、今回のシンポジウムでは、学内のポスターをきっかけに参加された地元の高校生の皆さん、奄美大島で研究活動をされている島外の大学生の皆さんが参加されていたことから、2年前の環境文化シンポジウムでの高梨修さんの発表を例に、「年配者の方々が大切にしてきたことを、若い世代の暮らしや楽しみとして、どう紡ぎ直していくのか問われていくと思う。皆さんが持っている思いや経験、つながりはジグソーパズルのピースのひとつひとつ。そのピースを持ち寄ってひとつの絵にすることが環境文化。縁あって集った皆さんがここを始まりとして、これからの奄美をいっしょにつくっていってほしい」と語りかけ、締めくくられました。

※詳しくは活動報告のページより本シンポジウム記録集をご覧ください。

南方新社より『奄美のノネコ -猫の問いかけ-』を出版しました。

鹿児島環境学研究会が2015年から取り組んできた奄美のノネコ問題について、本格的な対策実施までを環境省、鹿児島県、地元市町村及び市民団体の協力により、各自の立場から詳述してもらいました。対話と協働を重ねながら、立場や価値観の違いを越えて世界的にも注目される取り組みを進める様子や、希少種保護を目的とした国内各地の「ネコ」対策、ニュージーランドなど海外におけるノネコ対策の現状についても紹介しています。(2019/3/31)

※詳しくは出版社HPをご覧下さい。

長野県環境保全研究所 の情報誌「みどりのこえ」最新号に書評が掲載されました。下記リンクよりご覧下さい。
【Books案内】『奄美のノネコ』鹿児島大学鹿児島環境学研究会編